(218)・・・音楽性幻聴・・・

 昔は、音楽の幻聴が聞こえるという訴えが多かった。「君が代」、「上を向いて歩こう」、「バラが咲いた」…それらが聞こえて来て、楽しい人も居れば、聞こえると苦しい人も居た。最近は、随分減ったから、あれは薬剤性幻聴(例えば、セレネース)だったかも知れん。

 僕にも長年あるが、幻聴じゃなく、「強迫性音楽」という感じである。無意識のうちに頭の中で鳴っている。ひどい時は、一日中流れている。1年足らずに、知らん間に別の音楽に変わったりする。あまり疲れていると、うるさくて聞きたくないのに、それでも流れ続ける。疲れている方が、むしろ聞こえやすいようだ。

 最近の曲は、自分でも相当に不思議だった。流れるのは、「僕らをのせて~♪」だけ。誰の歌か何の唄かも分からない。それで、よくよく調べてみたら、分かったんよ。「君をのせて」(天空の城ラピュタエンディング曲)

 不思議なことに、僕はアニメが嫌いで、見たことが無い。宮崎駿も興味が無いのだから、なぜこの一節が入り込んで来たのか、未だに分からない。だから、この歌詞の意味も分からないから、全然好きな曲でもない。

 大御所、久石譲がアニメごときの音楽をよう作ったなぁ。それにしても、「君をのせて」なら、沢田研二の名曲があるがな。

 現在の頭の中には、古くて珍しい曲が流れている。昭和51年頃に「冬の雲」という暗い暗いドラマがあった。中身は完全に忘れたのだが、調べてみると、二谷英明、田村正和、久我美子、市原悦子、大谷直子、馬渕晴子、浜村純、仲雅美、近藤正臣、小野寺昭、大原麗子などが出演していた。

 仲雅美は、「冬の雲」に出演し、主題歌を歌ってA面「ポールシュカポーレ」がヒットしたのだが、僕の頭の中には、B面「苦しき夢」ばかりが、執拗にこびりついている。仲雅美は、同期の沖雅也と混同されるが、沖は自殺した。

編曲の木下忠司は、「喜びも悲しみも幾年月」「あゝ人生に涙あり」の作曲で有名であり、木下恵介監督の弟である。

「ポールシュカポーレ」と「苦しき夢」のカップリングが素晴らしいよ。

『苦しき夢』作詞:門馬直衛 編曲;木下忠司 ドイツ民謡
(語り)
愛とは 春の日の花のように
美しく、香り高きものであろうか
愛とは 夏の日の太陽のように
誇り高く、きらめくものであろうか
愛とは、秋の日の落葉の下に泣く虫のように
せつないものであろうか
愛とは 冬の日の、その青空の

1)夕べの夢は 苦しき夢
 園に繁れる 満天紅

2)一夜のうちに 冬とかわり
 緑の枝に 花は散りぬ

3)黄金(こがね)の瓶(かめ)に 花を摘めば
 この手を滑り 花は枯れぬ

4)夕べの夢は 何を告ぐる
 愛しの君に 変わりなきや

我ながら、頭が壊れかけとるようじゃ。やれやれ。

(出典:イラストAC