(2)・・・引き算処方・・・

自分の医療は、足し算じゃなく引き算だ。

前医があって、処方薬があるなら内科薬も含めて減薬に次ぐ減薬を目指している。 一人で60錠/日飲んで居る人も診たが、そんなことザラである。
これが一つの病院で、一人の医者が出しているのだから、すさまじい。 一般内科、循環器科、消化器科、脳神経科、整形外科を回って60錠なら、 そんな人はいくらでも居る。80代、90代の人に飲めるわけがない。
「心療内科に行ったら、あれもこれも減らされた…」と正直に告げる人も居るから、 その病院から、「なんでよその処方にまで口出しするんや!!」と電話で怒鳴り込まれる。 こっちは、待ってました!とばかり、何倍にもして怒鳴り返す。 そんな時代が続いて、今は、僕に言って来るような根性のあるやつは居なくなった。

減薬候補は、以下の通り。
デパス、眠剤、ガスター、ロキソニン、リリカ、抗コレステロール薬、抗パーキンソン薬…。 最も重要なことを忘れていた。いわゆる認知症薬、アリセプトとかメマリーとか。 これも、百害あって一利無し。
多くは、易怒性亢進や情動不安定が起こり、挙句の果てにリスパダールまで飲まされたりしている。 認知症薬は、アルツハイマー型じゃないと処方できないので加齢による脳血管型認知症も、アルコール認知症も、精神薬性認知症も、 今ではアルツハイマーという診断に置き換えられ、日本中アルツハイマーだらけである。
こういう風に、薬の発売が先行し、そのあと診断名が流行するのは、 うつ病然り、双極性然り、ADHD然りである。

(出典:減薬・断薬サポートノート – 嶋田和子著)