(119)・・・たかが新聞、されど新聞・・・

 家庭で新聞を定期購読する時代が、今崩れつつある。新聞代を払う余裕が無い、という理由も大きいだろうが、ネットニュースがあるから…という理由も大きそうだ。しかし、記事を選べず、どれもが視界に入る新聞と違い、ネットでは、自分の好みで、一瞬に選択してしまう(逆に言えば、一瞬に、興味ないものを飛ばしてしまう)から、ネットばかりだと、情報も知識も偏ってしまうだろう。

 昔は、朝日と毎日が二大新聞だったが、読売が強引な手法で売り上げを伸ばし、今は、三大紙の時代から、産経、日経を含めて、五大紙の時代になった。政府の大本営御用新聞である読売や産経は、事実上ジャーナリズムとは言えないから、政治権力の監視装置としての機能は、朝日、毎日にしか存在しない。(実態は、それも危うく、調査報道に本腰を入れているのは、週刊文春などの週刊誌になりつつある)。

 ちなみに、世界の報道の自由度を調査したところ、上位は次のようになっている。
ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、コスタリカ、オランダ、ジャマイカ、ニュージーランド、ポルトガル、スイス、ベルギー、アイルランド、ドイツ、カナダ、エストニア
 他では、英国33位、フランス34位、イタリア41位、韓国42位、台湾43位、米国44位、日本67位の順。中国は、177位、北朝鮮179位である。中国や北朝鮮を見下したような報道も多いが、それこそ、「目糞、鼻糞を笑う」だろう。

 我々が、新聞やテレビに接する時、検閲済みとは言わないが、忖度済みの報道だと、割り引いて見なければならない。残念ながら、多くの真っ正直な大衆は、そんな疑いも無く、日々僅かずつ洗脳されているわけだ。

 我が家では、毎日新聞と愛媛新聞を読みながら育った。エリート臭が漂う朝日より、大衆性のある毎日に、今でも親近感がある。

毎日新聞の凋落には、沖縄密約事件(昭和46年)が大きな要因になった。当時の、佐藤栄作首相は、非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込まさず)を、表では肯定し、裏ではナンセンスだと言っていた(米公文書より)。兄の岸信介と共に、日本をアメリカに売り渡した売国奴の兄弟である。(岸の孫、安倍晋三もまた同罪)。

沖縄の返還に際し、本来アメリカが支払うはずの返還費用を、当時の金で100億円以上日本が肩代わりし、おまけに、核持ち込み密約までやっていたのだ。佐藤は、この功績?により、ノーベル平和賞を泥棒したのである。こういう大嘘を、罪とも恥とも思わない人間が、この世には存在するらしい。

毎日新聞政治部記者西山太吉は、外務省事務官の女性と「情を通じ」、この密約をスッパ抜いた。当時は、国会も世論もひっくり返るほどの大騒ぎになる。ところが、この二人のスキャンダルが報じられ、佐藤は開き直ったのである。報道の自由と、調査手段の問題がすり替えられ、二人は刑務所送りになった。この後の毎日新聞の凋落が悲しい。政府の第三者調査委員会の委員長は、読売のナベツネ(渡邉恒雄)だったが、露骨に政府の肩を持ち、報道側を断罪して、そののち、読売新聞の拡販に繋げたのである。

さて、地方紙愛媛新聞は、明治9年に県の御用新聞としてスタートした。しかし、戦後の民主化に伴い、心機一転の矢先に、レッド・パージ(赤色分子排斥)に遭ったり(昭和24年)、社長の平田陽一郎(南海放送創設者)が、県知事選に立候補して、久松定武(松山藩の殿様の孫)県政に反旗を翻したが、県民を二分する大接戦の末、敗北した(昭和38年)。この敗北の痛手は大きく、一気に大人しい御用新聞に立ち戻ってしまった。

それに対抗して、坪内寿夫(来島ドック、奥道後温泉、グランド劇場、関西汽船)は日刊新愛媛を創刊し、白石春樹県政と徹底的に対立した。伊方原発容認の愛媛新聞VS原発反対派の日刊新愛媛の時代は、活気があって面白かったのだ。(→昭和62年廃刊)

最近の愛媛新聞は、共同通信の配信や良心的な記者の活躍により、まあまあよく頑張っている。編集、構成、見出しの付け方などに、創意工夫が見られるようになった。後は、県政から自立して、伊方原発の危険性をもっと訴えるようになったら、ジャーナリズムだと認めてやろう。

愛媛新聞は、人気月刊誌「アクリート(共生)」を発刊していた時代もあり、巻頭随筆「伊予は居よいか住みよいか」は早坂暁、その挿絵は、我が盟友サンスベリアの一人息子、たけし君であった。(…余談でござる)

最後に、どうしても書いておかねばならない地方紙が、南海日日新聞である。斉間満(元日刊新愛媛記者)、斉間淳子夫婦は、伊方の目と鼻の先の八幡浜で、反原発新聞を発行し続けた(昭和55年より)。彼らは、命と生活の全てを投げ打って、33年間も新聞を出し続けた。その徹底した匿名報道は、その後の新聞人の灯台になっている。

こう見てみると分かることがある。全国紙でも地方紙でも同じだが、『悪貨は良貨を駆逐する』…有名なグレシャムの法則である。同じ貨幣でも、金銀の含有率が高い貨幣は、貯蓄され、鉄や銅の多いボロ貨幣だけが、市場に流通する…と言う経済用語らしい。転じて、「悪ははびこりやすく、善は滅びやすい」という風に使われる。

(出典:イラストAC

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