(206)・・・新川二朗・・・

 また一人、流行歌手が亡くなった。

東京の灯よいつまでも」が大ヒットしたから、昔はそれ1曲で有名だった。

 男前でもなく、華も無かったから、逆にこういう歌手が好きだった。さりげなく哀しみを歌える歌手だった。ヒットが出ないので、二郎→二朗と改名したけど、もう時代遅れだったから、仕方ない。

 高校3年の頃、東京オリンピックがあって、国中が五輪一色だったが、生意気な僕は、ドヤ街を追われる人たちの事を思って、「反五輪」を主張していた。最近のように、どす黒い金まみれの仕組みは、当時知る由も無かったけど、一部の権力者や金持ちの利権のにおいだけは、プンプンしていた。(我ながら、ええ勘しとったわい)

 東京オリンピックの灯よ、いつまでも・・という意味が込められたこの歌を、複雑な思いで聞いていた。そもそも、その前のデビュー曲「君を慕いて」から、新川二朗ファンだった。

 新川のナンバー1は「青春譜」である。五木ひろし等がカバーしているが、あまりにも下手過ぎて、味が無い。名曲を汚さんといてくれよな!

 「青春想譜」もいいが、こちらは新沼謙治で、どちらも遠藤実作曲である。「青春」が無かった遠藤の夢想が曲になったようなものだろう。

「流行歌」というものが無くなって、寂しい時代じゃ。学芸会みたいな子どもの歌ばかりが流れる時代になった。誰も読まなくてもいい、分からんでもいいけど、愚痴まみれで、一発かましておかんと気が済まんのよ。

例によって、新川二朗のベスト10を選んでおこう。

  1. 青春譜
  2. この心にも雨が降る
  3. 君を慕いて
  4. 指切りの街
  5. 東京の灯よいつまでも
  6. 真っ赤な地平線
  7. 望郷
  8. 新宿ながし
  9. 望郷しぐれ
  10. おれの日本海
(出典:イラストAC