(145)・・・帝国主義・・・

 帝国主義とは、一つの国家または民族が自国の利益・領土・勢力の拡大を目指して、政治的・経済的・軍事的に他国や他民族を侵略・支配・抑圧し、強大な国家を作ろうとする運動・思想・政策である。

 古くは、スペインとポルトガルが、地球を半分ずつ分けて、植民地化したり、イギリス(大英帝国)が、インド、パキスタン、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどを支配した。オランダ、ベルギー、フランスなども、あちこちに植民地を作った。

 乗り遅れたドイツ、イタリア、日本の帝国主義が、英米仏などと戦争に至ったので、結局どっちもどっちだったのである。日本の侵略は、朝鮮、満州、台湾などに及んだが、「歴史修正主義者」たちは、それを「アジアの解放」だと強弁している。

 帝国主義は、民族主義+愛国主義+軍国主義+植民地主義の合わさったもので、その上に、啓蒙思想や白人優越思想が混ざり込んでいたから、「悪の権化」どころか、良心的な侵略だと、自負していたのである。分かりやすく言えば、「白人の文明やキリスト教を啓蒙してあげて、より良い国にしてあげましょう」…という頓珍漢な思想を、誰もが信じていたのである。カトリックやプロテスタントなどは、その侵略の先兵になったのだが、本格的な自己批判は未だ為されないままである。

 その後、アメリカが、スペインやイギリスを破り、フィリピン、ハワイ、グアム、キューバなどを支配したが、その後のやり方は、植民地化と違い、内政干渉をして、親米政権を作るという方法を取るようになる。しかし、ベトナムで敗れ、アフガニスタンやイラクで失敗して、結果的にボロボロになっている。

 最近の帝国主義的侵略の代表例は、中国のウィグル支配だろう。ニセ社会主義なのに、「侵略」を「解放」と言い換えて、言語も文化も奪い尽くし、民族虐殺に近いことをやり続けている。中華思想(漢民族がこの世の中心に居る)もウンザリだし、アングロサクソン、ゲルマン、大和…も相似形だろう。

 そして、プーチンのロシアは、今ウクライナを支配しようとしている。旧東欧諸国の民主化が広がり、東ドイツ、ポーランド、ルーマニア、オーストリア、ハンガリー、バルト三国などが、ロシアを離れて行ったから、プーチンは追い詰められている。どんな理屈を並べても、誰もがロシアの体制を嫌がるのだから、どうしようもない。反体制派を暗殺し、収容所に入れ、薬物を飲ませ、そして、ジャーナリストを抹殺して来たプーチンも、いずれ歴史の裁きを受けるだろう。シーザー、ナポレオン、ヒトラー、スターリン、金一族、習近平…皆同じ穴のむじなである。

(出典:イラストAC