(163)・・・甲斐バンド・・・

昔から、アメリカ嫌いで、ポップス嫌いだったから、ビートルズなど最悪だった。古びた歌謡曲の哀愁に比べたら、アメリカ文化など糞である。

それが、26歳の時、甲斐バンドにしびれてしまった。デビュー曲「バス通り」は、ミニヒットだったが、2曲目の「裏切りの街角」がベスト10番組に登場した。(その半年後に、中島みゆきの「アザミ嬢のララバイ」が出た頃である)

甲斐バンドは、(ビートルズ+ローリングストーンズ)÷2と言われていて、甲斐よしひろも自認していたくらい。しかし、僕には甲斐バンドは、歌謡曲に聞こえていた。なにしろ、精神科病棟の若い看護士たちと、ライブに行ったことさえある。

息の長いバンドだが、途中からは歌謡曲の香りが無くなって、僕の興味は消え失せてしまった。だから、好きな曲は初期のものばかりである。ここに、マイベスト10を書き残して、回顧趣味の切れ端にしておきたい。

  1. 翼あるもの
  2. この夜にさよなら
  3. かりそめのスウィング
  4. ポップコーンをほおばって
  5. 安奈
  6. きんぽうげ
  7. 裏切りの街角
  8. 氷のくちびる
  9. 東京の一夜
  10. ダニーボーイに耳をふさいで

(次点)アップルパイ…曲よりも、アップルパイが大好物だから。

 昔のセカンドオピニオン最高潮の時期に、「翼あるもの」というペンネームの青年に出会った。確か、愛知県からの参加だった。精神薬の被害者で、後遺症に苦しみ、しかし、頭の切れる男だった。甲斐バンドのファンでもあり、ネット上で大いに意気投合したのだが、ある日家族からの電話があり、「息子が、急に亡くなってしまいました」…。

『翼あるもの♪』 作詞作曲:甲斐よしひろ

疲れ果てた身体をだまし
ただ鳥のように翔ぶさ
風に乗り 雲をつきぬけ
自由を夢見て めざして
大きく はばたく
今に生きる俺たちに
星は進路を指してくれる
夜の海 誰かが高く 燈火を
生命をともしてる 悲しげに 高く
明日はどこへ行こう
明日はどこへ行こう
いま夕陽に翼ぬらし
俺は帰るのさ
お前というあたたかな港に
たどり着くまで

(出典:イラストAC