(138)・・・毒舌相談室(1)(受験勉強)・・・

「うちの子は、不登校が続いて、学校には行きゃせん。家で時間があるんじゃけん、勉強して、ええ学校に行かしたいけど、これじゃ行けそうにないんです。どないしたらええんじゃろか?」

「勉強じゃの進学じゃの言うとる場合じゃろか?息子さん、学校に行けずに苦しんどるんじゃけん、そこを分かってあげにゃいくまい?」

「私らは、息子のことを思うて、将来幸せになれる道を勧めとるんですよ」

「よいよい、ええ学校に行くんが幸せじゃの言うて、ちぃとおかしいわい。ええ学校、ええ大学…それは、偏差値が高いだけじゃけん」

「いやいや、私もええ大学じゃなかったけん、苦労しましたがな」

「それ、出世レースのことじゃろがな。出世が幸せの道ですか?ほなら、東大でも行ったら、幸せになるちゅう理屈ですな?」

「少なくとも、ええ就職先があって、生活の苦労はせんでしょが?」

「ほう?東大出て、権力者になったり、高級官僚になって、国民を苦しめて、ほれで自分たちだけ幸せになると?よいよいじゃが、凄い思想じゃわい。そんな考えを見たら、子どもは親を尊敬出来んけん…親が何言うても、説得力が無いはずじゃがな」

「親は、まともな生き方をしてもらいたい。それがおかしかろか?」

「ほなら、学校に行けずに苦しんどる子どもらは、まともじゃないと?そりゃ、無茶苦茶な考えじゃわい。病気になったり、障害を持っとったりしたら、ダメ人間扱いしよる」

「いや、私らはよその子はそう思わんです。差別なんかしとらんけん。じゃが、うちの子はまともになってくれんと…」

「こんな親を持っとったら、子どもさんは可哀想じゃ。こんなに苦しんどる時に、肝心の親が、なんで味方になれんのじゃろ?なんぼなんでも、残酷すぎるがな」

「親は、子どもの幸せを考えとりますけん、私ら間違うとらんけん。本当は、中学も愛光に入れたかったんじゃけん」

「はぁ~?あそこは、学校じゃないぞな、受験予備校ぞな。大事な十代を、そんなとこ入れたらいかんいかん」

「先生かて、愛光に行ったけん、医者になれたんじゃろがな?」

「馬鹿じゃろか。愛光に行ったけん、医者ぐらいにしかなれんかったんぞな。まともな教育を受けとったら、ちぃと社会性を身に付けて、もっとまともな人間になっとるわいな」

「先生は分かっとらん。やっぱり、子どもは勉強せんといかんですよ」

「ふ~む、困ったのう。ご両親は、明石家さんまの子どもの名前、知っとります?〝いまる〟と言うんは、生きとるだけで丸儲けちゅう意味じゃけん。親の愛情は、ここじゃろがな?」

(出典:イラストAC