(19)・・・診断の混乱・・・

  1. ICDやDSMのような稚拙な分類法が輸入された。
  2. それと並行して、新薬と呼ばれる物が、導入された。
  3. 精神分裂病が、統合失調症に変わり、当事者の為という名目とは違って、藪医者の診断に、便利さが増した。

本来は、疾患名については、「病」を使い、似たようなものの集まりを「症」「症候群」と呼んでいた。かなり不可逆的な病態を、「障害」と呼ぶのが自然だった。それらがグチャグチャになっている。
Disorderをそのまま障害と訳し、障害と疾患の区別が曖昧になった。
うつ病が珍しく、統合失調症を見かけなくなった昨今、
僕のカルテのほとんどは、「神経症」ばかりである。昔で言うなら、ノイローゼかな?

疾患名の混乱は、神経症に多い。
不安神経症→不安障害、パニック神経症→パニック障害、強迫神経症→強迫性障害、抑うつ神経症→うつ病性障害、心気神経症→身体表現性障害、ヒステリー神経症→解離性障害、転換性障害。
これらは、実際には重複しているので、「神経症」で十分である。

最も分かりにくいのは、「適応障害」「ストレス障害」だろう。
これまでは、病態を疾患名にしていたのに、急に、原因を病名にしている。
これでは、うつ病圏なのか、神経症圏なのか分からないので、処方が乱脈化しやすいのだ。
どうしても、原因を入れたいなら、適応困難性不安神経症とか、ストレス性心気神経症などとすべきだろう。

全体的に、疾患じゃなく、病態が優先され、ジプレキサやエビリファイが、うつ病圏に使われたり、抗うつ剤が、神経症圏に安易に使われるようになった。診断など、どうでもよい時代である。
リスパダールやジプレキサ、SSRIやSNRIが、どっと輸入されたのち、適応疾患はどんどん広がっている。

最も大きいのは。精神分裂病→統合失調症である。
あくまでも、慎重に診断していたものが、極めて安易に使われるようになった。
それどころか、ますます拡大され、初期統合失調症とか、初老期とか更年期とか、
もうわやくちゃである。

統合失調症への病名変更を喜んだ連中は、もう何でも統合失調症である。
こいつらが、往診や訪問システムを使って、服薬を厳正化したおかげで、病状は慢性化し、薬剤性障害になってしまう例が後を絶たない。やめたくても、減らしたくても、主治医の処方通りに飲めと言う。スティグマ云々を言うなら、医療者による「お世話システム」こそ断罪されるべきものだろう。

ICDやDSMに毒された連中に。決定的に欠落しているのは、

  1. 発達障害の二次障害にある、妄想気分や錯聴。
  2. 解離性障害にある、解離性幻聴。
  3. 自分たちの処方が原因になっている薬剤性症状(医原病)

この3つを理解できれば、僕にボロクソに言われなくなるぜ。

(出典:医原病 – 近藤誠著)