(185)・・・『うたコン』雑感・・・

 6月21日月曜日、普通ならもう寝る時間であるが、起きていた。『クローズアップ現代』に、「時代遅れのRock’n’Roll Band」が出ると聞けば、寝よる場合じゃないわいな。目新しい内容では無かったが、まあ聞いておいて良かった。

 桑田にしろ誰にしろ、ミュージシャンにはしゃべらせたらいかん。彼らは、自分の音楽以上には雄弁になれない。しかも、聞き手は桑子真帆アナ。そこいらの女子高生レベルの中身の無さだから、話が深まろうはずもない。桑田が、一生懸命気配りして合わせていたが、ゲストに気を遣わせてどうするんや?

 その流れで、『うたコン』も見ることになった。野口五郎と世良公則も出るけん、一応見たくもなるがな。五郎は、声がもう出ない。ギターのテクニックで誤魔化したが、老いには勝てんのう。世良『燃えろいい女』は、もともと喉を詰める歌い方じゃけん、ボーカルとしての限界はある。こいつは、「見せ方」を心得ていて、うまく乗り切った。バックに、たのきんの一人、野村義男が居て、猛烈ギターで補っていた。

 南こうせつは、あんなものか。こういう歌(「神田川」「赤ちょうちん」)は、うまい下手じゃないから、歳喰っても得じゃな。僕は、フォーク世代とは違うので、ええ歌じゃ思ても、あ~あそれだけで終わり。

 ついでながら、赤木野々花アナは、目障りじゃけん、のいとってくれ!しゃべるな!笑うな!カメラに映るな!邪魔すな!居らんでもええぞ!

 残りが面白かった。色物ばかりじゃ!色物とは、寄席において、落語や講談を除く芸を言う。漫才、手品、音曲、皿回しなどが含まれる。寄席のめくりで、落語や講談の演目は墨(つまり黒文字)で書かれていたが、それ以外は色文字(主として朱文字)で書かれていたことに由来するらしい。

 miwaが尾崎豊『僕が僕であるために』を唄った。ギターも声も、音程もいい。素直な歌い方に好感を持つ人も多いだろう。それで…?それだけ…?あぁ、それだけでしかない。残念ながら、尾崎を歌うには、人生が無さすぎる。水泳の萩野公介の嫁らしいな。

 藤あや子は、南こうせつの『鳥』。抑揚が無く、サビが弱く、さりとて、情念も溢れない。企画やカッコつけばかりに気を取られ、ただ元歌をなぞるだけ。この人は、結局、ヒット曲無しのまま終わるだろう。

 さて次…。野田愛実えみの唄が面白かった。悩みを持つ人だけが辿り着ける不思議な駄菓子屋、「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」という児童書→アニメ映画の主題歌『奇想天外ふしぎをどうぞ』である。歌がうまいし、リズム感もギターも素早いのに、惜しいなぁ。野田あいみ?まなみ?えみ?愛実?愛美?…ええ~い紛らわしい!バックに付いているプロデューサーがアホである。苗字も名前も顔も、地味すぎるのが惜しい惜しい。

 はい次。おかゆ『赤いひまわり』はええよ。今時珍しい流しの女演歌師だ。北島三郎、五木ひろし、渥美二郎以来の流し出身かも知れない。歌詞が、物悲しい。3分間の歌に物語がある。今の時代には流行らんだろうが、おかゆという歌手に注目☆

 次は、『逆転のレジーナ』リトルブラックドレスが登場。派手な衣装に、派手な振り。物おじしない歌い方で、まるで下手ではない。しかし、曲調と声が合っていない。声や歌い方が、あまりにも素直すぎる。もっと、癖が欲しい。名前も曲名も、癖が強すぎて覚えられないくらいなのに、歌がさっぱり系だから、ミスマッチじゃ!

 トリが凄かったよ。『これさえあれば』のT字路Sてぃーじろす。伊東妙子のだみ声が凄い。聞かなきゃ分からん。聞いたら分かる。惜しいかな、時代が遅かったかも知れん。日本には、ブルースの文化が消えかかっている。黒人差別→公民権運動→リズム&ブルースやロックという文化的背景に比べ、この国には、反差別、反権力の文化が無さすぎるのだ。一昔前なら、まだ政治の季節だったし、大阪には、「在日」「部落」「釜ヶ崎」などの情念が渦巻いていて、「憂歌団」が『おそうじおばちゃん』を歌えば、盛り上がったものである。さて、伊東妙子の底知れぬパワーが、どこまで届くだろうか?見ものである。

 NHKが、こういう色物を取り上げるのは、常套手段のせこいやり方である。本気で、こういう文化を根付かせる訳がないから、使い捨てられることは分かっている。今回登場した、おもろい「色物」たちは、決して、NHKに取り込まれてはいかんよ。そうなったら、もう魅力は無くなるんじゃけんな。

(出典:イラストAC