(30)・・・子どもたちへ・・・

皆よう聞いてくれ。おいさんが、性根入れてしゃべるけん、つばえてぎり居らんと、ちゃんとお聞きや。
学校の事じゃが、なんで必死こいて学校行くんや?その理由を考えたことあるんか?それは、「親が行け言うけん」とか、「担任の先生に怒られるけん」とか、ほうがいしょーも無い理由しか無いん違うか?
行かんかったら、親の機嫌が悪うなるのも、いやじゃわいな。ほうよなあ。ほじゃけど、「学校行かんかったら、おおごとになるけん」と言われるじゃろが、おおごとてなんぞな。おいさんは、おおごとて、死ぬ以外はおおごとなんかない思うとる。生きとりゃあ、それで丸儲けじゃけんな。

学校学校と言うんは、ありゃ宗教じゃ。何の根拠も無いものに騙されて、むやみやたらに信じるだけ。宗教に惑わされたらいかん、いかん。

ほおか、ほおか。「ええ学校に行けんようなる」「ええ学校行ったら、ええ仕事に就けるけん」じゃな。ほおか、県立に行ったり愛光に行ったりして、偉うなりたいんか?
なんじゃて?ええ仕事じゃないと、給料が安いけんか?
よいよい、そこまで考えとるんか?そんな頭じゃ、受験のテストは出来ても、世の中生きて行けんぞな。勉強の頭と、生きて行く頭は、根っこから違うんぞな。

おいさんは、愛光という、学校のフリをした受験予備校に行かされてな。小学校の同級生から、ちょびっとはせだにされてな。いやな思いしたぞな。ほいで、教師が、「東大じゃないと大学じゃない」とか言うて、アタマが狂うとったしな。同級生は、東大にも、ぎょうさん行ったがな。そいつらは、商社に入って、東南アジアの森林をはじめ、自然をめがしてしもて、日本の金もうけに必死こいた連中とか、霞が関の官僚になって、公文書の改ざんしたり、原発を推進して、福島とかの国民を泣かしてぎりおる。確かに、ええ給料を貰うとるじゃろうが、そんな親父持って、子どもは嬉しいか?自慢できるか?おまえら、そんな大人になる為に、腹下して、熱出して、そいで神経すり減らしもって学校行って、何がおもろいんや?

大人の言う事も色々あるけん、よう聞き分けいよ。大体、「先生」と呼ばれる奴ほど馬鹿ばかりじゃ。頭の中は、筋肉か鉄骨で出来とって、話が伝わらへんぞな。そういう連中が、「我慢の上に花が咲く」とか、「勤勉じゃ努力じゃ」言うても、ありゃ嘘じゃけん。学校が好きな奴も居るし、合わん奴も居る。好きな奴には行かせておいて、苦手なもんは、別の道を歩けばええんじゃ。合わんとこで、我慢をなんぼやっても、何の花も咲かんけん。苦手なもん相手に、勤勉なんかなんぼしても、糞の役にも立たんのよ。ほじゃけん、好きなこと見つけて、それをおやりや。

やっぱり、十代なんか特に、遊ぼや。悪いことのギリギリまでやって、つばえてぎりおったら、それが勉強になる。よもだを覚え、生きて行くスキルを身につけんと、勉強ぎりしても役に立たんぞな。昔、勉強なんかドゲじゃった連中が、生き生きして世の中渡っとるがな。

おいさんなんか、あんなボロ学校に行ったおかげで、ように世間知らずになって、精神科の医者じゃなかったら、もう世間では全く通用せんぞな。十代に、青春したかったなぁ。人生はじめから間違いだらけじゃ。もういっぺん子どもにもんたら、世間のど真ん中の、奥の方の、底の方の、中の方を見てみたい。うん。じゃーなりすとがええわい。あ~あ、しもた、しもた。もうぼけてしもたがな。

(出典:さよなら十代 – 仲宗根美樹)

(出典:十七才は一度だけ – 高田美和)

(出典:さよなら17才 – ジュディ・オング)

(出典:十七才のこの胸に – 西郷輝彦・本間千代子 他)