(25)・・・松山砂漠・・・

世の中には、(精神科じゃないけど)こんな処方もある。
3例とも、公的総合病院。嗚呼、松山砂漠。

患者は、77歳女性で、パーキンソン病。
夜間譫妄せんもう、幻視、妄想、抑うつ、焦燥感が強い。

  • レキップ眠前1錠、リボトリール(0.5)2錠を朝夕
  • ダイメジン4錠を朝夕、カロナール(200)12錠を朝昼夕
  • ドロキシドパ3錠を朝昼夕
  • ロキソニン3錠を朝昼夕
  • リリカ(75)1錠を夕
  • リリカ(25)2錠を朝
  • タケキャブ(10)1錠
  • アリセプト(5)1錠
  • エンタカボン1錠を昼
  • ドパコールL 6.5錠(朝昼午後夕眠前)

錠数を数えるのも、面倒になる。これを、きちんと飲める高齢者が、どれほど居るだろう?

主治医は、パーキンソンを抑えるのに躍起になっている。小刻み歩行や振戦ばかり見ていて、
この人の生活全般は、全く頭には無いのだろう。
相談は受けたが、結局、家族が現主治医を信頼し、僕は手を出せなかった。嗚呼。

次は、関節リウマチの79歳女性。
だるさとフラフラ感が強く、セカンドオピニオンで受診。

  • アサルフィジン1錠
  • クレストール(2.5)1錠
  • リリカ(75)2錠、トリプタノール(10)2錠
  • マイスリー(5)1錠

これに、アクテムラの注射を毎月、2年以上続けて来た。
ついでながら、アクテムラは、3割負担で、1ヶ月20,000円以上。
炎症反応はマイナスであり、その他の指標も悪くない。アクテムラ注射をやめ、アサルフィジンをやめ、クレストールもやめて、フラフラするので危ないから、リリカもトリプタノールもやめた。漢方とマイスリーだけにして、1年半だが、随分お元気になった。
あのまま、リリカやトリプタノールを飲み続けていたら、転倒骨折は不可避だった

3人目は、91歳女性。一人暮らしをしていたが、急に錯乱し、落ち込み、譫妄が出るようになった。
服用薬は、長年にわたり、

  • ガスター2錠朝夕
  • ロキソニン2錠朝夕
  • マーズレン2錠朝夕
  • リリカ(25)2錠朝夕
  • ノルバスク(5)2錠
  • アジルバ(20)2錠
  • リピトール1錠
  • ソラナックス(0.4)2錠

悪い物が一式入っている。
コレステロール低下薬、降圧剤、ガスター、リリカ、鎮痛剤、そして、ベンゾジアゼピンのソラナックスである。

初診で、全部を一気に中止し、抑肝散加陳皮半夏を処方して、一挙に回復した。
低血圧や低コレステロールは、認知症への近道。ガスターとソラナックスは、譫妄せんもうへの近道。

(出典:東京砂漠 – 内山田洋とクールファイブ)