(133)・・・クレプトマニア&トリコチロマニア・・・

 要するに、窃盗癖と抜毛癖である。スマホ依存と並んで、対応に苦慮している。

強迫スペクトラム障害(やめられない止まらない症候群)と言う意味では、同根異症のものだから、爪噛み、皮膚むしり、過食、リスカ、溜め込み症(→ゴミ屋敷)とも根っこは同じであり、チック症、むずむず足症候群などとも遠い親戚と考えている。

大学の先生が書いている教科書を読むと、こんな風に書いてある。

『両方とも、10代〜20代半ばに発症し、圧倒的に女性に多い。多くは、うつ病を併発し、愛着障害や強迫性障害、反社会性パーソナリティ障害にも見られる。エビリファイやSSRI、ジプレキサ、トピナなどを処方する』

わはは!全部、嘘だらけ、間違いだらけである。笑わすな!

現実は、どちらも、5〜6歳に始まったりして、しかも、男女半々である。子どもは、男の子が多い。50代、60代発症の人にも、何度も会った。盗癖は、なんでもあり。お金持ちの奥様が、安物の靴下やチーズを盗んだり、子どもは、友だちの文具や店にある消しゴムを盗んだりする。

抜毛症は、女の子でも禿げ頭になるまで、抜きまくる。一本も無くなった子どもにも、数名会ったことがある。多くのケースでは、側頭部に禿げが出来るくらいで、他の髪の毛で隠していることが多い。手足の毛を抜くぐらいなら、病気とは言えない。不思議なことに、抜毛症の人が、皮膚科にかかり、脱毛症の治療をしていたりする。

うつ病の人は、一人も診たことが無い。強迫性障害、反社会性パーソナリティ障害などは、問題外で、愛着障害もあったり無かったり。

SSRIもエビリファイも、ジプレキサ処方などトンデモない。むしろ、衝動性を亢進させて、逆効果だろう。「効果は立証されていない…」などと書くなら、書かない方がいい。ええ加減なことは言うな、書くな。

決め手はないが、第一にカウンセリング、第二に、抑肝散加陳皮半夏である。ブログ(40)万能薬でも触れたが、中間証に使える83番は、最低限の基本薬だろう。その上に、何を足すかが、腕次第になる。

両疾患ともに、発達障害が7割くらいを占めている。残りの3割は、背景にあるストレス要因を取り除いたら、予後良好である。この1年で、抜毛癖は、男の子5人、女の子2人。大人の男1名と女性1名だった。

一方、盗癖は、男の子3名、女の子1名、60代の男性2名、50代の女性2名だった。

僕も、ひげ抜き、溜め込み症、爪噛み、万引き癖などの経験者だから、気持ちはよう分かる。しかし、共感だけで、太刀打ちできるほど、やわな疾患じゃないんよね。

(出典:イラストAC
(出典:イラストAC