(22)・・・くじら部屋・・・
僕は、せっかちで失敗も多い。ADHDの部分も相変わらず多くて、カードの紛失5回など、物を無くすことにおいて誰にも負けない?片付けも苦手だが、これについては、わざわざカオス状態を好むところもある。
診察室は、それとは誰も分からぬような、旧物置きを改良した約2畳くらいの小部屋である。ここに、皆さんから頂いたくじらグッズが詰め込まれているから、人によっては、ぎょっとして、入ったところで立ち尽くす人もある。
実は、僕にとっては、これが診断の要になっている。2歳から20歳の子どもたちが多いのだが、彼ら彼女らは、緊張しながら初診でやって来る。そのファーストコンタクトこそ、診断の決め手なのだ。多くは、入室した瞬間に、診断は済んでいる。
机の上を、グチャグチャにして帰るやつ。決して、さわりもしない子。机の下にもぐって、縫いぐるみを抱き、帰ろうとしないやつ。目がキラキラして、過集中になるやつ。百人百様だが、みんな僕の昔の姿であり、僕の仲間である。
一言もしゃべらない子が、5回目くらいに、そっと紙切れを置いて行く。そこには、くじらの絵が描かれてあったりして、感激してしまう。
老いぼれ医者は、こんな子供たちに支えられて生きている☆