雑言集…(055)接見バカからのメッセージ

弁護士 赤 松 範 夫

1980年代に総評が解体され、労働事件が減少したころに、
刑訴法39条3項の「捜査のため、必要があるときは」
捜査官が弁護人の接見指定ができる、
との規定を悪用した接見の封殺という接見指定問題が
大きな曲り角を迎えたことからは、接見問題に特化して活動してき、
その後、この条文を事実上死文化させてきた。

そのため、接見至上主義者とか、接見バカと称されてきたが、
現在もバカをやってるが、これらについても色々と言いたいことがあるので、
今後に向けた雑感を述べておきたい。

先ず第一に、
逮捕段階の捜査弁護が活発化すると共に弁護人不在のもとでの
不利益供述を得たい捜査側は逮捕段階での弁護人接見を妨害したり、
遅延させたりの動きを見せており、後日問題化されると多くの場合、
接見指定をしたとの口実を用いる例も増加している。
これをめぐる国賠訴訟などでは、黙示的に接見指定がなされていたからとか、
黙示の協議義務を尽くしたから違法ではないなどとの判決も出されている。
いわば死文化した39条3項の接見指定の亡霊が現在に至って再度出現している状況にある。
我々も、昭和53年最高裁杉山国賠判決等に基づき、現に取調中であり、
取調べの中断による支障が顕著であることを要するなどの接見指定の要件や、
要件が存しても協議義務の履行を求めるなどの接見現場での対応をして、
これに反撃する接見現場での弁護実践が不可欠である。

第二に、
接見指定時代には指定と連動して出されていた接見等禁止決定について、
一般的指定書が廃止された当時は、接見等禁止決定率が20%台であったものが、
その後上昇を続け、2023年度には46%にまで上昇しており、被疑者が家族や社会から断絶されて
孤立化して絶望的となり、虚偽自白に陥る例もあることから、これを防止するためにも、
接見等禁止体制の打破に向けた準抗告等による取組みが不可欠であることを自覚された弁護活動を行われたい。

第三に、
今年度中には限定された地域でオンラインによる被疑者との外部交通制度
(秘密性の保護が完全でないため接見とはいわない)が開始され、
これを順次拡大して実施する動きがあり、日弁連でもこれを推奨して、
拡大を求めて将来的にはオンライン接見制度につなげたいかのようである。
しかし弁護人は本来、直接面談のうえ、書面等も示しながら、顔を突き合わせて
その表情やしぐさなどを観察しながら信頼関係を確立すべきことが基本であり、
前日までの事前予約や、1時間という時間制限のあるオンライン外部交通制度や、
この延長線上のオンライン接見などで直接の接見には完全に代替できないものである。
そのため、このような便利な制度ができても、本来的な接見の重要性や必要性は
いささかも変わらないので、
この点を十分に自覚して利用すべきであろう。

言いたいことはまだまだありますが、字数の制限上、以上としますが、
年頭から、年寄りめいた雑感で恐縮でした。