(149)・・・ジェノサイド(民族虐殺)・・・

 ロシア連邦の中で、チェチェン民族の住むチェチェン共和国は、自治自立を目指して、200年にもわたり、独立運動を続けて来た。ロシアのキリスト教正教会とは異なり、イスラム教の民族であり、産業は石油のみ。その石油は、ロシアに持って行かれ、最貧国の歴史を歩んで来た。

 スターリンの強制移住により、50万人以上のチェチェン人がシベリアで殺され、その後、プーチンに対する独立戦争は、一次、二次と熾烈を極めた。その間に、指導者4人が暗殺され、有名な女性人権活動家も、行方不明となって、後に惨殺死体になって発見される。独立派住民に対する拉致、拷問、暗殺が続いているが、チェチェン人たちのジハード(聖戦)には終わりが無い。

 何もかも失った弱者の武器は、テロである。空港、列車、劇場、学校、ボストンマラソンにまで及び、遂には、プーチンの傀儡だった共和国トップまで暗殺した。それでも、プーチンは虐殺をやめず、数十万人のチェチェン人が殺され続けている。

 ウクライナの歴史も、これまた悲惨を極める。古くは、モンゴル帝国、オスマントルコ、ロシア帝国、ヒトラードイツ、スターリンソ連などから、常に国土を蹂躙されて来た。特に残酷なものは、スターリンのホロモドール(人工的大飢饉)である。ウクライナ人たちは、強制移住により家畜や農地を奪われ、更に少ない食料を強制的に収奪された結果、大規模な飢饉が発生し、1000万人ともされる餓死者を出した。その記憶は、未だにウクライナ人の中に残り、それが今のロシアへの抵抗運動になっている。

 最近のニュースでは、ロシアは、貧しいチェチェン人やシリア人の傭兵を金で集め、それをウクライナの市中戦に投入すると言う。まさに、この世の地獄絵図である。

 ロシアの侵略戦争は、ヨーロッパNATOの東侵が原因だと、プーチンは喚いている。しかし実態は、独裁政治にとって、民主化こそが脅威なのだろう。ドイツ、チェコ、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、ポーランドと、民主主義が拡大すればするほど、恐怖政治が孤立化するのは自明である。

 独断で言うが、プーチンは、薬物中毒かも知れない。強精剤やカフェインの過剰長期摂取は、人間を興奮状態にしてしまう。あの目つきを見ると、どうもあやしい。

もう一つは、一部で言われているパーキンソン病の初期状態である。会談中に、わずかな振戦が見られる。そうだとすれば、Lドーパなどの抗パーキンソン薬が要るだろう。その副作用は、不安、焦燥感、興奮、不眠、眠気、妄想、衝動制御障害である。

話は戻るが、民族虐殺(ジェノサイド)は、プーチンやヒトラー(→ユダヤ)の専売特許ではない。習近平→ウイグル、チベットは、現在進行形で有名だが、アメリカ→先住民(インディアン)やベトナム、イラク、アフガニスタンなどは、殺戮数すら明確になっていないほど殺しまくった。

よそ事じゃない。アイヌは、江戸時代までは、北海道、東北北部に居住していたが、「コシャマインの戦い」「シャクシャインの戦い」「クナシリ・メナシの戦い」などで虐殺され、首長たちは、和睦の宴で毒殺された。大和によるアイヌ虐殺数も、諸説あるが、これまたジェノサイド(民族虐殺)には違いない。その後、1937年の南京大虐殺など書けばキリがないが、我々大和民族とて、大罪を背負っているのだ。現在進行形で、琉球を足蹴にし、踏み台にし、差別し続けている事実は、絶対に忘れてはならない。

こう書いて来ると、人類の進歩など全く無かったかのような、暗黒歴史である。誰も歴史に学んではいないようだ。最近では、安倍晋三や高市早苗、橋下徹などが、核の共同使用などと言い始めた。やつらの頭の中は、プーチンと同じつくりである。

思想の自由、報道の自由、表現の自由などの大切さは、今回のおとろしあを見れば、改めてよく分かる。しかし、日本の報道の自由度は、世界67位だという事を知っているだろうか?国谷裕子の「クローズアップ現代」が、自民党安倍一派の圧力で、潰されたのは有名である。「報道ステーション」の内容をめぐって、テレビ朝日は露骨な圧力を受けた。アベシンゾー、スガヨシヒデ以降、NHKを筆頭に、萎縮と忖度が進み、公正な報道は姿を消している。

教科書の検定(検閲)すら、毎年行われていて、「侵略」を「進出」とか「解放」と書き換えている。真におとろしいのは、その事実を多くの国民が知らないことである。民主主義と衆愚政治は、まさに紙一重だ。

(出典:イラストAC