(111)・・・よもだ・・・
いつの頃からか、「よもだ」が大好きで、自分のニックネームのようになっている。松山弁随一の、摩訶不思議な、言い換えが効かない奥深い言葉である。
昔は、野球チームを作れば、「よもだ~ず」。患者チームにも、「YOMODA〜S」などと名付けたものである。
診察の終わりには、口癖のように、「よもだでおやりよ」「人生なんぞ、よもだで十分ぞな」と言うのだが、30歳以下の相手だと、間違いなく「は~ぁ?」と言われる。もう、こういう方言は、死語になりつつあるらしい。
野良でもグータラでもない。ふざけているのでも、だらしないのでもない。いや、それらを皆まとめて、その上に、反骨と諦観を馴染ませながら、諧謔や自嘲を隠し味に・・と言っておこう。これ以上は、説明できない松山遺産である。
昔、古本屋で見つけた破れかけの詩集あり。堀内統義という面白おかしき地元の詩人なり。その最終ページに、下記の詩を見つけたぞなもし。
「よもだかんとりーぶるうす」
あしは伊予のよもだじゃけんねゃ
あしは伊予のよもだがいやがる びんだれぞなもし(びんだれ;だらしない)
あしはいよのよもだがいやがる
びんだれもたまげる
のらでにゃ(のら;なまけもの)あしは伊予のよもだがいやがる
びんだれもたまげる のらがのけみそにする(のけみそ;はせだ;仲間はずれ)
こけさくじゃ(こけさく;負け犬)いけずじゃ(いけず;いたずらもの)
せんみつじゃ(せんみつ;嘘つき)
もげさくじゃ(もげさく;空気が読めない男)
どべのへちむくれのごくつぶしじゃの(どべ;ビリ へちむくれ;へそ曲がり ごくつぶし;無駄飯食い)
なんぼでもわやくちゃいよるけどねゃ
ありがたくちょうだいしとるんよ
なまずのひげみたいに
世間の水にただよわせとるのよ
ほじゃけど
そんなあしにかまいよったら
ひげのようなとげが
ちくりと刺しよるんじゃが
世間ではちょっともそれには
気がつかんけんえぐいわい(えぐい;いやになる)
たすいわいねゃ(たすい;まぬけ)
てんぷなわい(てんぷな;おかしい、あぶない)