(130)・・・改憲VS護憲・・・

 今の憲法は、昭和22年5月3日に発効された。僕の生まれる前日である。小学校のクラスには、憲司君や憲子さんなど、「憲」が流行して、国民は平和憲法を大歓迎した。

S30に鳩山一郎民主党+吉田茂自由党の合同により、自由民主党が生まれた。その党是に、憲法改正(改憲)があって、これが奴らの悲願である。

マッカーサー占領軍は、戦争犯罪人を処罰したが、岸信介や中曽根康弘のように、生きのびた者も多かった。奴らは、「押し付けられた憲法」を、自主的に改正したいと、長年にわたり熱望している。その割には、日米安保条約を結び、米軍基地を許容したのだから、真の独立派とも言えず、都合のいいことは、アメリカ追随。都合の悪いことは、改正しようとする。

アメリカ「51番目の州」とか、「不沈空母」などと嘲笑されても、「アメリカのポチ」であることを恥じもしない自民党が、「アメリカの押し付け憲法反対」と言っても、全く説得力が無い。実は、第9条を変えたいだけなのである。

憲法第9条は、戦争の放棄&戦力の不保持&交戦権の否認の3本から成り立っている。しかし、日本の軍事力は、既に世界第5位であり、フランス、イギリス、ドイツ、オーストラリアさえ上回っている。毎年5兆円以上の予算(国民の税金)が投入されているのに、「自衛隊は、軍隊ではない」と強弁し続けている。

なんで、戦争放棄の憲法があるのに、こんな軍事力を持つに至ったのか?それは、S25 にアメリカが朝鮮戦争に出兵し、在日米軍の補強の為、「警察予備隊」を作るように、要請されたのだ。その後、名称は、保安隊から自衛隊に名前を変えたが、アメリカの要請+日本の願望→再軍備への準備が整ったわけである。(憲法違反!!)

 しかし、憲法改正規定(第96条)には、国会の3分の2以上の賛成+国民投票での過半数という条件があり、さすがの半狂右翼、安倍晋三も達成することは出来なかった。しかし、「自国が攻撃された場合にのみ、反撃の権利がある」を変更して、「同盟国への攻撃があれば、参戦可能」という「集団的自衛権」を強引に閣議決定し、露骨な憲法違反をやり通したのも、安倍晋三だった。

 加えて、憲法が危機に瀕しているのは、維新の議席増である。これにより、改憲勢力は3分の2以上になり、かなり危うくなった。国民投票法も曖昧なもので、今のままなら、カネのある勢力が、テレビやネットでの広報活動を、無制限にやり続ければ、アホな国民は、簡単に騙されるだろう。

 今の憲法の骨格は、平和憲法と基本的人権の2本立てになっている。

生命・自由・幸福追求権、プライバシーの権利、自己決定権(13条)、法の下の平等(14条)、思想・良心の自由(19条)、信教の自由(20条)、表現の自由(21条)、学問の自由(23条)生存権(25条)などである。

 しかし、教科書やマスコミへの介入など、自民党政権は、憲法など平気で無視し続けている。最も大事な25条すらあやうい国になった。また、公明党~創価学会のように、政教分離原則(89条)に、露骨に違反していても、司法はそれを許している。立法権は国会(41条)、行政権は内閣(65条)、司法権は裁判所(76条)という「三権分立」は嘘であり、最高裁は、自民党に支配され続け、国民大衆の側には立つことはない。

 そもそも、法の下の平等など、誰も信じてはいない。現実は、上級国民が優遇され、下級国民は差別されている。その象徴が、第1条、天皇制であることは言うまでもない。

 とにかく、現行の平和憲法、特に戦争放棄の第9条を手離したら、もう未来は無いだろう。それは、歴史を学べば、子どもでも知っている。この何千年もの間、戦争、虐殺を繰り返して来た人類の知性は、痴性とも言うべき進歩の無さである。地球環境の悪化の元、災害がどんどん増えて、人類そのものの生存が脅かされているというのに、ミサイルを持って睨み合うなど、バカじゃなかろか?

 せっかくの憲法も、解釈を変更し、露骨なまでの憲法違反を繰り返した自民党の中には、明治帝国憲法への回帰を狙うアナクロニズム(時代錯誤)が、潜んでいる。残念ながら、もう終わりの始まりが目前にある。

何が、「あけましておめでとうございます」だ?そんな事言うとる場合か?グレタ・トゥーンベリさんに怒られるぞな。喝!

(出典:イラストAC