(34)・・・ベンゾジアゼピン眼症・・・

ベンゾジアゼピン薬。俗にいう精神安定剤と睡眠剤のほとんどが、それに当たる。
精神安定剤(=抗不安剤)でベンゾじゃないのは、セディールだけだが、こいつは吐き気が出やすく、効果も弱い為、あまり使われない。睡眠剤で、ベンゾじゃないのは、ベルソムラとデエビゴだが、これらは、悪夢と倦怠感が強くて、とてもお勧めできない。

ベンゾでも、デパス、サイレースの過剰処方や長期投与、又は、一気断薬による離脱症状は、厄介な副作用を生む。

70代の女性は、デパス(0.5)を6錠で5年飲んでいて、来院したときは、眼瞼けいれん、羞明感がひどく、徐々に瞼が開かなくなって行った。ボトックス注射も、その場しのぎにしかならず、瞼をテープで持ち上げているのだが、今度は目が乾き、それも辛そうだった。

50代男性は、デパス(1)1錠+サイレース(1)1錠だけだったが、やはり目が開きにくく、首が硬直しがちで、めまいやまぶしさが激しく、苦労している。減薬したり、漢方やランドセンで置き換えているが、容易ではない。

30代男性は、デパスやメイラックス、サイレースを、一気断薬して、苦しくなったらしい。やはり、瞼が開きにくく、首が硬直して、めまい、まぶしさ、振戦があり、声が出にくいと言う。長い病歴で、クリニックを転々とし、エビリファイ、リフレックス、サインバルタまで服用歴があった。

特に、アスペルガー星人は、うつ病と誤診されやすく、且つ、真面目さが逆目に出て、一生懸命服薬するから、被害を受けやすい。おまけに、まずいと思ってやめる時、一気に断薬してしまう。そもそも、薬剤過敏を想定していない、オツム空っぽの精神医療は、残酷なことばかりをやっている。