(87)・・・心魅かれたうた・・・
1.人生はただ一問の質問にすぎぬと書けば二月のかもめ
(寺山修司)
人生とは?生きるとは?
ただ一つの問いに悩んでばかりいる時、寒空を悠々と舞うかもめのように、自由が羨ましいなぁ…と言う意味だろうか。
自分においては、もう、30歳を過ぎてから、何も問うことは無くなった。答えは決まっている。「無」
2.漂泊の愁ひを叙して成らざりし 草稿の字の読みがたきかな
(石川啄木)
さすらいびとの哀しみを書こうとして、うまく書けなかった原稿の字は、
今見ても、字が乱れていて、読みにくいなぁ・・という風に読める。もうひとつ、字はキチンと書かれていても、
当時を思い起こして、読むのが辛い・・と言う意味か?
3.汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる
汚れつちまつた悲しみは
たとへば狐の皮裘
汚れつちまつた悲しみは
小雪のかかつてちぢこまる
汚れつちまつた悲しみは
なに望むなく願ふなく
汚れつちまつた悲しみは
倦怠のうちに死を夢む
汚れつちまつた悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れつちまつた悲しみに
なすところなく日は暮れる……
中原中也の有名な詩。つは、っと読んだらいいだろう。生きることの悲しみが、あまりにも深い。
20歳の頃、この詩に引き込まれて、あやうく死ぬところだった。